[Flutter] 型変換(キャスト)の使い方

Flutterは、Googleが開発したオープンソースのモバイルアプリケーション開発フレームワークです。Flutterは、Dartと呼ばれるプログラミング言語で書かれており、iOS、Android、Web、Windows、Mac、Linuxなどのプラットフォームで動作します。Flutterでは、さまざまなデータ型が利用できますが、時には、異なる型の変数をキャストする必要があります。この記事では、Flutterでのキャストについて詳しく解説します。

目次

キャストとは?

プログラムにおいて、変数にはデータ型があります。データ型には、整数、浮動小数点数、文字列、真偽値などがあります。Flutterでは、さまざまなデータ型が用意されており、それぞれに対応する変数が存在します。しかし、時には、異なる型の変数を扱う必要があります。このとき、キャストを行います。

キャストとは、ある型の変数を別の型の変数に変換することです。キャストには、暗黙的なキャストと明示的なキャストがあります。暗黙的なキャストは、自動的に行われます。たとえば、int型の変数をdouble型の変数に代入すると、自動的にキャストされます。一方、明示的なキャストは、プログラマが明示的にキャストする必要があります。明示的なキャストは、キャスト元の変数を括弧で囲み、変換後のデータ型を指定することで行います。

データ型一覧

Flutterには以下のようなデータ型があります。それぞれの項目の概要を簡単にまとめました。

  1. Numbers
    • int: 整数型(64ビット)
    • double: 浮動小数点型(64ビット)
  2. Strings
    • String: 文字列型
  3. Booleans
    • bool: 真偽値型
  4. Lists
    • List: 動的な配列
    • List<T>: 動的な型Tの配列
  5. Maps
    • Map: キーと値のペアを格納する配列
    • Map<K, V>: キーの型がK、値の型がVのマップ
  6. Sets
    • Set: 一意なオブジェクトの集合体
    • Set<T>: 型Tの一意なオブジェクトの集合体
  7. Runes
    • Rune: Unicodeのコードポイントを表現する型
  8. Symbols
    • Symbol: シンボルを表現する型

これらのデータ型を使い分けることで、プログラムの実装を効率化することができます。

配列(Lists)・連想配列(Maps)・Setの使い方はそれぞれ、以下にまとめていますので、よかったら見てみて下さい。

暗黙的なキャスト

ご指摘ありがとうございます。確かに、Flutterにおいては暗黙的なキャストは許可されていません。明示的なキャストが必要です。以下に、暗黙的なキャストについて説明します。

暗黙的なキャストとは、プログラム言語において自動的にデータ型が変換されることを指します。Dartでも、一部の場合に暗黙的なキャストが行われます。たとえば、int型とdouble型の演算を行う場合、int型は自動的にdouble型にキャストされます。例えば、以下のようなコードがあるとします。

int x = 5;
double y = 3.14;
double result = x + y;

この場合、int型の変数xとdouble型の変数yを加算していますが、int型の変数xは暗黙的にdouble型にキャストされ、計算結果がdouble型の変数resultに代入されます。

しかし、暗黙的なキャストによって予期せぬ挙動が発生することがあります。たとえば、String型とint型を加算する場合、String型がint型に自動的にキャストされるという挙動が想定されるかもしれませんが、Dartではそのような暗黙的なキャストは行われません。そのため、以下のようなコードはエラーになります。

String str = '10';
int num = 5;
String result = str + num;

この場合、int型の変数numはString型に自動的にキャストされないため、エラーが発生します。

以上のように、Dartでは暗黙的なキャストは許可されていません。明示的なキャストを行う必要があります。

明示的なキャストの例

int型からdouble型へのキャスト

int型の変数をdouble型の変数にキャストする場合、以下のように記述します。

int num = 10;
double doubleNum = num.toDouble();

この場合、int型の変数numtoDouble()メソッドでdouble型に変換して、double型の変数doubleNumに代入しています。

double型からint型へのキャスト

double型の変数をint型の変数にキャストする場合、以下のように記述します。

double doubleNum = 10.5;
int num = doubleNum.toInt();

この場合、double型の変数doubleNumtoInt()メソッドでint型に変換して、int型の変数numに代入しています。この場合、小数点以下は切り捨てられます。

String型からint型へのキャスト

String型の変数をint型の変数にキャストする場合、以下のように記述します。

String str = '100';
int num = int.parse(str);

この場合、String型の変数strint.parse()メソッドでint型に変換して、int型の変数numに代入しています。

String型からdouble型へのキャスト

String型の変数をdouble型の変数にキャストする場合、以下のように記述します。

String str = '10.5';
double doubleNum = double.parse(str);

この場合、String型の変数strdouble.parse()メソッドでdouble型に変換して、double型の変数doubleNumに代入しています。

Dartでは、ListSetMapの相互変換が可能です。これらのコレクション間の変換は、異なる形式のデータを変換する必要がある場合や、特定の機能を使用するために必要な場合に便利です。

List型からSet型への変換

ListからSetへの変換は、重複を排除するために有用です。Setは、重複する要素を保持しないため、一意の要素の集合を表現することができます。

ListSetに変換するには、toSet()メソッドを使用します。

final List<int> numbers = [1, 2, 3, 3, 4, 5];
final Set<int> uniqueNumbers = numbers.toSet();

print(uniqueNumbers); // {1, 2, 3, 4, 5}

toSet()メソッドは、Listの各要素をSetに追加します。重複する要素は自動的に削除されます。

Set型からList型への変換

SetからListへの変換は、一意の要素の集合から重複を許容するリストに変換するために有用です。

SetListに変換するには、toList()メソッドを使用します。

final Set<String> fruits = {'apple', 'banana', 'orange'};
final List<String> fruitList = fruits.toList();

print(fruitList); // [apple, banana, orange]

toList()メソッドは、Setの各要素をListに追加します。Setは要素の順序を保証しないため、変換後のListの順序はランダムになります。

Map型からList型への変換

MapからListへの変換は、キーと値のペアから単純なオブジェクトのリストに

変換するために有用です。

MapListに変換するには、valuesプロパティを使用します。

final Map<int, String> fruitMap = {0: 'apple', 1: 'banana', 2: 'orange'};
final List<String> fruitList = fruitMap.values.toList();

print(fruitList); // [apple, banana, orange]

valuesプロパティは、Mapの値のリストを取得します。この場合、各値はString型です。toList()メソッドを使用して、値のリストをListに変換します。

List型からMap型への変換

ListからMapへの変換は、インデックスと要素のペアからキーと値のペアを作成するために有用です。

ListMapに変換するには、asMap()メソッドを使用します。

final List<String> fruits = ['apple', 'banana', 'orange'];
final Map<int, String> fruitMap = fruits.asMap();

print(fruitMap); // {0: apple, 1: banana, 2: orange}

asMap()メソッドは、Listの各要素をMapのキーと値のペアに変換します。キーは要素のインデックスであり、値は要素自体です。

List型からMap型への変換(複数の値を持つ場合)

ListからMapへの変換は、複数の値を持つ場合にも可能です。この場合、リスト内の各要素は、Mapのキーと値のペアを表す必要があります。

以下は、複数の値を持つListからMapへの変換の例です。

final List<Map<String, dynamic>> productList = [
  {'name': 'Product 1', 'price': 10},
  {'name': 'Product 2', 'price': 20},
  {'name': 'Product 3', 'price': 30},
];

final Map<String, dynamic> productMap = Map.fromIterable(
  productList,
  key: (product) => product['name'],
  value: (product) => product['price'],
);

print(productMap); // {Product 1: 10, Product 2: 20, Product 3: 30}

Map.fromIterable()メソッドを使用して、Listの各要素をMapに変換します。keyパラメーターは、各要素のキーを返すための関数を指定し、valueパラメーターは、各要素の値を返すための関数を指定します。この例では、各要素のキーはnameフィールドになり、値はpriceフィールドになります。

エラー処理

キャストの際には、データ型が互換性のない変数を変換しようとすると、エラーが発生します。例えば、String型の変数に数字以外の文字列が含まれている場合、int型やdouble型に変換できません。そのため、キャストを行う際には、エラー処理を行う必要があります。

エラー処理には、try-catch文を使う方法があります。tryブロック内でキャストを行い、エラーが発生した場合には、catchブロックでエラー処理を行います。以下に例を示します。

String str = 'abc';
try {
  int num = int.parse(str);
} catch (e) {
  print('エラーが発生しました:$e');
}

この場合、String型の変数strに数字以外の文字列が含まれているため、int.parse()メソッドでエラーが発生します。catchブロックでエラーを捕捉し、エラーメッセージを表示しています。

まとめ

Flutterでのキャストについて解説しました。Flutterでは、異なる型の変数をキャストする際には、明示的なキャストを行う必要があります。また、キャストには、エラー処理を行う必要があることにも注意してください。キャストを理解し、正しく使いこなせるようになると、より高度なFlutterアプリケーションの開発が可能になります。

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